私が【ITECメンタークラブ】のメンターとして採用していただいたのが昨年の4月でございまして、経験も浅く、本日のスピーチの先頭を切ってお話をするのはおこがましいのではございますが、定年後の6年間の経験も交えながら20分ほどお時間を頂きましてお話させて頂きます。
本日は こう言った内容でお話をさせて頂きます。それでは始めに私の『メンターとしての経験話』からお話したいと思います。
私がITECメンターとして現在メンタリングしているのは1社でございますが、この1社とのこれまでの経緯を通して、私の【メンタリング手法】をご説明いたしましょう。

私は35年間商社マンとしてやってまいりましたので、人様にお役に立てる事といえば「貿易実務」「海外駐在経験」「マーケティング」「商品企画」面などとなります。

私は電子機器の日本からの輸出がメインの仕事でしたので、大手メーカーさん(例えば、日立、富士通、沖、東芝、松下、ソニー、シャープなどなど)と、当時仕事を通してのお付き合いが今となって、【メンタリング機能】の一つとして大いに役立っています。

私の最初のメンティさんは「独自の検索ソフト」を開発しているベンチャー企業でした。メンター・メンティ交流会での面談後、まず最初に同社を訪問する際に、私はソフトウエアの分野ですでにベンチャー企業を成功させている蒲田の会社の社長さんと、あるパソコン周辺機器メーカーの現役営業マンを同行して3人で訪問し「開発中ソフトに関する説明」を受けました。

この意図は、私は所詮「商社マン」ですから、ソフトウエアの詳細、適切なアプリケーションの世界、今後の市場動向など分かるはずも無く、同行の二人にジャッジ頂こうというアイデアです。つまり私の役割は商社時代の人脈を活用してメンティの希望に適う人を紹介してよい協力関係を構築することにあります。

現在その時に出されたアイデアで“ある官庁向けにソフトを仕組んだデモ機“を作って、現役営業マンのルートからその官庁の最適窓口で「デモ」を仕掛けようという企画で進めています。このデモ機がこの1月〜2月に完成予定と聞いております。

私が始めてやらせて頂いたメンティが、速やかに会費を払って【ITECメンティ会員】として入会頂いたことから、私が手がけたこの手法は相手様にそれなりに評価して頂けた結果だろうと思っております。この先、この開発ソフトが完成して、お客様の前でうまく動作し、相手に受け入れられる好結果が生まれればと切願しております。

そうしてもう一つのメンターとしての役割は「まだメンター制度そのものが一般に知れ渡っていない」ので機会が有る如く【ITECメンター制度】を紹介して行こうと考えております。これが現時点での私の「メンタリング手法」であり、上図に示しました。

私がメンターになった切っ掛け (定年後の経験から) 

私は今から5年前 2005年(H.17)に定年退職いたしまして、その後

・ 専門学校の理事

・ コンサルティング会社のシニア・コンサルタント

・ 小さな専門商社の営業部門のアドバイザー

などを経験して参りましたが、皮肉もこの経験が【メンター制度】に関心と興味を持つ切っ掛けとなったのです。

知人を介して、そのような学校や会社から、「何とか改善を図りたい」とか「市場を広げたいので協力してくれ」とお願いされて、私も「それでは」とお引き受けしたのですが、大体半年ほどで、その組織の問題点が見えてきます。

その根本的な問題点というのは、『時代の変化に乗れないで、過去の実績や成功例に頼っている』ケースが多く、その考えを変えてゆくには、私を雇ってくれた会社オーナー自信が考えを変えて行く必要があると言う私に取っては大きな矛盾に突き当たります。

そもそも、私を雇ったオーナーは、『これまで自分がやってきたのだから自分には落ち度が無く、実績のダウンは社員側の能力欠如に問題があるはず』と決めて掛かっていますので、そして私を雇っているのはそのオーナーという関係から大変にややこしい問題になります。行き着くところは『そんな話を聞くためにあなたを雇ったつもりはない』と突っ返される訳です。

こんな体験を通して、“お金が絡まない”【メンター制度】というのは、この点から見れば、大いに興味をそそったのであります。勿論『無料奉仕だからメンター側はメンティに対して真剣に取り組んではくれない』という問題点があるように見えますが、メンティ側からすれば、会社の方針を決めるのはメンティである会社のオーナーですから、『メンターからは参考意見やアイデアを頂戴するだけ』と割り切って考えればいいのではないでしょうか。

またメンター側から見れば、『メンター制度は自分の経験を世間のお役に立てていただく機会を提供してくれている』と言えるのではないでしょうか。

従ってメンター・メンティの両サイドに立って、十分に活用できる制度ではないでしょうか。

それでは最後に、『これからの時代はメンターの活躍が益々求められる時代』について私の考えを述べてみたいと思います。

これまでは【親分子分型社会】

現在は 大きな通信革命「インターネット時代」の到来によって、何もかもが大きく変わろうとしている最中です。まだ現在壮年層以上の人々の中にはコンピュータ扱いに不慣れな人が多いため、生活システムのすべてをガラリと切り替えてしまう訳にはゆかず、従来型社会と未来型社会の混在型が現在なのでしょう。

私たちのこれまでの時代は、制度があってリーダーを中心に統制されていた「中央集権型社会」の中で育ってきたと思うのです。経営手法でも「カリスマ経営」が羽振を効かし、その結果として大きく成長した大企業の周りに衛星中小企業群が覆い包むような社会形態でした。「とにかく良くて安いものを民に与えればそれでよし」を大前提に突っ走って来たように思います。

私はこのような形態(従来型)を「親分子分型社会」と呼んでいます。

【寄り合い型社会】の到来

しかしインタネット時代到来で個人からの情報発信が容易になりました。これはすごい革命です。この結果、個人で簡単に物が売れるようになり(ネットショップ)、そして自分と主義や趣味が同じような仲間でインターネットを介して簡単にグループが作れる時代が来たのです。つまり権限が分散化された時代の到来です。昨今、政治の世界でもこれまでの国会中心主義(国政)から、地方政治重心への分権化が議論されているではありませんか。

私はこのような形態(未来型)を「寄り合い型社会」と呼んでいます。

上の画面に「信用・信頼」とありますが、これはITECが作っているメンティーへのカタログ上でこう書かれていることからもご理解頂けましょう。

 『メンターがベンチャー企業や中小企業(メンティー)と基本的に1対1で、継続的・定期的
  に交流し、信頼関係を作りながら、助言や諸活動指導を通じて精神的・社会的な
  成長を支援する。』

【親分子分型】と 【寄り合い型】の比較


ところで米国人が題名『ヒトデはクモよりなぜ強い』という本を書いています。この本を読んでみますと「親分子分型」が「クモ型」で「寄り合い型」が「ヒトデ型」に丁度合致しているようです。それがこの上図の中間より下に書かれた対比です。

<クモ>=重要な頭を切り落とされたらクモは死ぬ。つまり大企業(頭)が潰れると
       衛星企業群(手足)は連鎖倒産に落とし込まれグループが全滅する。

<ヒトデ>=ヒトデの重要な部分は体の中央に集中していない。二つに切り落としても
        二つになる。理念を持った会社(ベンチャーや中小)は信用をベースに手広く
        寄り合っているので、一つの会社が潰れても他の会社に影響は少ない。

さてこれから世の中はこの【寄り合い型社会】になるというのですから、この一つ一つの『理念を持った会社』つまりベンチャー企業や中小企業が増えて行き【この指止まれ型企業群】、それぞれの企業によい指南役が必要になってくるわけで、益々「メンター」の活躍する場が広がって行く時代になるという事であります。

これからも微力ではありますが、皆様のお役に立てればと努力して参りますのでよろしくお願い致します。これで私のスピーチを終わらせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。   <完>

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