<<ある賀詞交歓会でのスピーチ(抜粋)>>

皆さん新年明けましておめでとうございます。本年も昨年同様によろしくお願い申し上げます。

今年は ね・うし・とら・う・・・で始まる「十二支」の一番最後の12番目の「亥(い)の年」に当たります。「十二支」は古代中国でつくられた日付を記録するものに利用されたそうですが、これが現在なお我々が使い続けているのは、それなりに理由があるようです。理由の一つが、分かり易く動物の名前をつけていること、そしてその動物が年賀状の図案として使われていること、もう一つの理由に、例えば「昭和○○年の申(さる)年生まれ」と言って年齢を表現する習慣を残していることだと言われています。 (一部略)

さてこの「亥の年」にどんなことが起きていたのでしょうか。
600年前に遡ると、室町時代の【1407年】近畿・会津地方に大地震、その60年後の【1467年】「応仁の乱」が勃発、足利幕府が滅びて室町時代が終わり「戦国時代」に突入。その180年後【1647年】江戸の大地震、そしてその60年後の【1707年】南海・東海で大地震、そして富士山の大噴火。「亥の年」は何か不気味な、チョット不吉な感じのする年のようですが、まあ万一の時には “慌てず、冷静に行動し、皆で助け合う” という精神でおれば大事には至らぬでしょう。(一部略)

ところで今年はどんな年になるのでしょうか。
日本は本当に物の豊かな国になりました。これも終戦後、アメリカに追従し、アメリカ型の ”自由資本主義” を模倣し、その結果アメリカを凌ぐほどの経済大国を作り上げました。しかしアメリカの悪い面もしっかりと模倣してしまいました。”日本の全国民が中流気分”の時代は崩れ去り、拝金主義がはびこり、自分さえ良ければという風潮は、勝ち組(富裕者)に加速度的富が集中し、その裏には負け組(弱者)が急増し社会の隅っこに追いやられ、結果として【格差社会】の傾向が顕著に現れてきています。正月休み中の新聞報道でも、この「格差」をはっきりと表す記事が氾濫しておりました。たとえば【JALが赤字経営打開策としてファーストクラスを設ける】の記事がありましたが、会社再建策がお金持ちから金を取る策とは何とも寂しい戦略とは思いませんか。そして 【渋谷の歯医者の次男が妹を殺害して死体を切り刻む】 という残酷な事件、これも裕福層が負け組に落ちないようにと親が子供に期待の掛けすぎが悲惨な事件となったと教育評論家がコメントしておりました。

そんなニュースばかりで憂鬱な気持ちにさせていた4日の夜、TVで【佐賀のがばい ばあさん】という題名のドラマをやっておりまして、それを観てチョッピリ気分をスッキリさせてくれました。昭和31〜39年ころ、佐賀に住むすごい(がばい)ケチなおばあちゃんの所に都会で育った孫が預けられ、そこで二人での生活が展開されるのですが、ある日 孫が学校で「貧乏人、貧乏人!」と生徒仲間からバカにされて泣きながら家に帰って来ると、おばあちゃんがこのように諭します。「悔しかったら、貧乏人になってみろ! と言い返してやれ!」。そしてこのように言います。「金が沢山あると、美味いものが食いたい、今度はどこに旅をしようか、あれを買おうか、此れを買おうか、と悩みが多いのだ。貧乏ならそんな悩みがないのだよ」と。そしてこのおばあちゃんの堂々としている姿に孫が納得して行く姿が描かれておりました。このおばあちゃんのように人の目を気にする事無く、しっかりした自分の哲学を持って生きている姿に感動致しました。(一部略)

【21世紀はこころの時代】ですから、今の日本のような「格差社会」が更に「猪突猛進」しないように、一人ひとりが「人様のために」という精神の元、自分の心に“やりがい感”、“充足感”が満ちるような日々を過ごして行きたいものです。

 (『21世紀はこころの時代』に関しましては、<私のスピーチ>欄をご参照ください。)

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