これはスピーチ時に配布した「レジュメ」ですが どんな話をしたか 要所のみ下記 

赤字部分で説明を加えます


セールスフォースマネージメント研究会


テーマ:『企業不祥事と継続会社の条件』

講演日時: 平成16年9月16日(木) 場所:早稲田大学国際会議場4F 7号室

スピーカー: ロジテック株式会社 常勤監査役 宮原一敏

【J】多発する企業不祥事

(1) 何の企業群だ??

野村證券、日本航空、東海銀行、ヤクルト、大和銀行、ミドリ十字、

三菱商事、阪和銀行、日本興行銀行、ダスキン


   


●平成元年頃の大学生 人気就職先ランキングか? それとも●親が子供に就職先として希望

する企業か? 

<答え>過去10年間で 「株主代表訴訟事件を引き起こした多い件数順。野村の6件から ダス

キンの2件までの企業群。1件の企業は 他に20〜30あり。

(2) 株主代表訴訟事件: あの会社が何で5回も?

@ 先物取引による為替差損に伴う損害賠償(提訴日:平6.5.31)

A 上記と同様内容(平10.1.30)

B 株主優待券を換金し総会屋へ(平12.1.19)

C ホテル経営の失敗(平12.1.19)

D 航空券を特定の会社に安く(平11.6.24)


取締役、監査役は株主から選任されて業務を委託された立場。利益が会社に正しく

還元されなければ これからは どんどん取締役/監査役を訴える時代。

 「善管注意義務」違反!!

(3) 最近のトラブル傾向

◆ 商法・独禁法関連:談合、不正入札、粉飾決算、監査法人の監査不適

◆ 製品不当表示

◆ 知的財産関連訴訟:職務発明者への報奨金問題

◆ 製品品質: PL法違反

◆ 商品への禁止材料の使用:食品添加物、農薬、化学物質

◆ 認定保安検査報告書の虚偽報告

◆ 環境汚染

◆ 放漫経営による倒産

 それなら以前のトラブルは どんなものだったの??

 総会屋への利益供与(ヤクザの世界)、役員のインサイダー取引(特権の乱用)

海外支店の不祥事(外国不慣れ)、苦情の対応ミス(顧客サービスへの無関心)、ソフト

ウエアの不正コピー(知的所有権への無知)、談合など独禁法違反(護送船団思考)など


(4) 【ハインリッヒの法則】==>「重大災害は氷山の一角」

「1件の重大災害、死亡災害の背景には、29件の中程度災害があり、300件の いわゆる微小

災害(ヒヤット! ハット!)が起きている。つまり300件の微小災害をつぶさないと重大災害を防止

できない。」

「1:29:300の法則」ともいう。米国のハインリッヒ氏が労働災害の発生率の分

析をしたもので保険会社の経営に役立たれている。つまり1件の大失敗の裏には29

件の顧客から寄せられたクレームや苦情で明らかになった失敗があり、さらにその裏

には300件の社員が「しまった」と思いながら見逃している事が起きているのだ。

(5)なぜ多発するのか?

◆ 第4次産業革命突入期      

◆ リスク・マネージメントの不十分   

◆ 「リストラ」と「空洞化現象」 

◆ 「ふとどき社員」と「まじめ社員」 

18世紀 第一次産業革命 (蒸気機関)

19世紀 第二次産業革命 (内燃機関)

20世紀 第三次産業革命 (コンピュータ)

21世紀 第四次産業革命 (ボーダレス)


(K)企業の社会的責任 (CSR)

  (1)CSRの定義: <厳密な定義はない> 

Corporate Social Responsibility

  企業     社会     責任

        「Social」の本来の意味は==>“プライベートとプライベートをつなぐもの。

        ローカルなものであって、一元化できないもの

    『企業が長期にわたって存続するために、利益をあげるだけでなく、ヒトと同じように法令を

    守り、環境を保全し、地域に貢献するなど、社会的な存在として活動しなければならな

    い。』

        だから会社を “法人”という。

  (2)「黒船来襲」と「失われた10年」

     ◆ 世界で孤立する日本?「日本型ビックバン」(1996年)

     ◆「グローバルスタンダード」が わが国「企業統治」を襲う。

● 国際会計基準に耐えられる企業統治(コーポレート・ガバナンス)

国際会計基準の特徴

  +時価によるB/SとB/Sとの2期比較が究極の利益

  +見積、将来予測の要素が多い

  +赤字事業、企業の存在を許さない

  +年功序列、終身雇用が困難

  +税制との乖離が巨大すぎる

  +企業努力より時価変動の影響が大

● 「取得原価会計」から「見積会計」へ

+ 連結決算会計 (期末決算適用開始:H12.3月)

      + キャッシュフロー計算書(H12.3月)

      + 時価会計 (H.13.3月)

      + 退職給付会計 (H.13.3月)

      + 税効果会計 (H.12.3月)

      + 企業存続判定 (H.15.3月)

      + 固定資産減損会計(H.18.3月)

◆ 経営戦略 横文字の猛威が急襲!!

    BPR,CTI,ERP,SCM,Knowledge Management

    BIS規制、PDCAサイクル、e-コマース、オンデマンドetc.

 PDCAサイクルについて説明を加えましょう。これはP=パクル、D=ダマス、 C=キャッシュ、そ

 して  A=頭下げ。つまり 人のものをパクリ そして人をダマシ、そして人の弱みに付け込んで

 キャッシュをばら撒き、選挙では頭を下げて ごれを何回廻ったかで“第何回生”とか言っている

 世界でのサイクルです。これは私の定義で 世間では Plan-Do-Check-Action とか言って

 おります。つまり従業員レベルでの小さなPDCAサイクルは 「朝、その日の作業の優先度を

 決め(P),その順番で業務を行い(D),うまく行ったところとダメだったところを比較し(C),ダメだ

 ったところは 明日はうまく行くように改善してみる(A)」 といったサイクルです。


NOTICE TO READERS

    The accompanying financial statements are not intended to present the

financial position and results of operations and cash flows in accordance with

accounting principles and practices generally accepted in countries and

jurisdictions other than Japan. The standards procedures and practices to

audit such financial statements are those generally accepted and applied in

Japan.

 この英語はなんでしょう?? この訳文を下記に載せました。つまり日本在の企業が決算時の財

 務諸表に 「日本式でやっていますので 世界標準ではございません」と書かされているのだ。  

 従って上述のように 日本は世界標準で見てもらおうと、急ぎ国際会計基準を取り込もうとし

 ているのだ。

<英文日本語訳>

<訳>読者へのご注意 : 添付の財務諸表は、日本以外の国あるいは法制管轄下

で一般に公正妥当と認められている会計原則及び監査実務によって財務状況、経営

成績およびキャッシュフローを示す為に作成することを意図したものではありません。これ

らの財務諸表を監査する為の監査基準、監査手続および監査実務は日本において

一般に公正妥当と認められ、かつ適用されているものです。



(L) 継続企業(ゴーイング・コンサーン)の条件

(1) 継続企業とは?

『会社組織を起こした以上は“継続”が前提である。』

 

(2)「継続企業の前提に関するチェックリスト」

◆ 【コンプライアンス経営】→ 健全なる企業風土の醸成

法令・規則の遵守 + 企業倫理、誠実性の遵守


無意識のうちに こんな事に陥っていないか。

+「出たとこ勝負」

+「無知」であることを「恥じ」と思っていない

+ 経営における慢心や油断、そして「思い込み」

+「いやな話」があまり入ってこない

+「目先の利益」に誘惑されていないか

+ 業務がある人に偏ってはいないか

◆ 【リスク・マネージメント】


 リスクの洗い出し--→ 

  優先順位をつけて対策検討 

  →社内に

  「コンプライアンス風土の醸成」

====> 経営陣の自覚


            経営者次第で企業風土は変わる!!

(3) これまで通りじゃ淘汰されちゃう時代

          第4次産業革命下-→ 新しいリスク

             +財務面のみでは無く、環境保護、地域社会貢献、労務面のリスク

             +「情報を持つリスク」←- 顧客情報漏洩問題


◆◆ダーウィンの言葉:

   『最も強いものが生き残るわけではなく、最も賢いものが生き延びるわけでもない。

    唯一生き残れるのは 変化できるものである。』


(M)日本経済再生の道

 (1)21世紀は 『こころの時代』

    『心の時代』なら日本は大得意ではないか!!

     今年春〈4月〉監査役全国大会にて 奥田・経団連会長の講演より

     21世紀=精神的な豊かさを満たす商品・サービスの時代=こころの時代

     日本は「観光立国」へ挑戦 !

         2002年 海外旅行 1600万人〈世界10位〉 

               海外からは 500万人〈33位〉

     小泉構想: 2010年 海外から 1000万人

               〈フランス 7600万人、スペイン 5000万人

                アメリカ 4500万人、イタリア 3900万人)

     ◎◎日本→ 四季の変化、美しい自然、古い伝統的文化と現代文化の混在。

     ◆八百よろずの神信仰

     日本は自然豊かな地(照葉樹林文化)==自然の営みに神を感じたが、砂漠地帯の

     自然の驚異は永続的であり、一方 台風、洪水、地震、噴火は一過性であり神の怒りが

     収まると、神は前にもまして自然の恵みを与えてくれる。

     一神教の上に作られた西洋の近代科学は 人間の力で自然のあり方を変えてゆこうする

     要素や、人間が便利で快適な生活を送るためには多少の自然環境変わってもかまわな

     いとする発想。

           ==>日本も明治維新以降、西洋の便利な機械を手にしたため

                自然に感謝する気持ちを失っていった。

                自然を大切にする神道(しんとう)的な生き方を取り直す。


 (2)『この指とまれ型共同体』の増

     理想的姿: NPO的事業体によるきれいな分業体制

        ある雑誌対談 養老孟司 X 岩井克人 (共に東大教授)

        21世紀は「人間」が利益の源泉となる時代、「他と違う何か」を生み続ける為には 

        お金に還元できない仕組みが必要。

        「この指とまれ型」

           =皆が新しいことを少しづつやる=それが最終的にきれいな分業体制になる=

        理想形態 ひとりひとりの「やりがい感」

     ◆自然との共生

         環境問題への関心

     ◆手作り文化の極地

   

◆◆シュリーマンの言葉; 【シュリーマン旅行記 清国、日本】

                    (ハインリッヒ・シュリーマン 石井和子訳 講談社学術文庫)


        江戸末期 シュリーマンは 日本人の優れたところを 指摘している。

        なぜ 日本人はそれを失ってきたのか??


  『道を歩きながら日本人の家庭生活のしくみを細かく観察することができる。家々の奥のほうに

   は必ず花が咲いていて、低く刈り込まれた木でふちどられた小さな庭が見える。日本人はみ

   んな芸愛好家である。日本の住宅はおしなべて清潔さのお手本になるだろう。』

  『もし文明という言葉が物質文明を指すなら、日本人はきわめて文明化されていると言えるだ

   ろう。なぜなら日本人は工芸品において蒸気機関を使わずに達することのできる最高の完

   成度に達しているからである。』 (例:多色摺り版画における 絵師、彫師、擦師)


参考; シュリーマン: 1822年ドイツ生まれ。若い頃 移り住んだロシアで 藍の商売で巨万

     の富を得る。1864年世界漫遊の旅立ち、翌1865年日本に寄る。江戸時代の

     末期で1867年が大政奉還。シュリーマンは1871年世界的なトロイアの遺跡の

     発掘に成功、以後ミケナイなどの発掘を続ける。1890年ナポリにて急死。

       (参考;2004年6月17日開催 日本監査協会による東京江戸東京博物館 竹内誠館長の講演より)


<終わり>

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