緊急事態のときはヘリコプターが近くの小学校の校庭に降りてきて急病人を運ぶそうである。むしろ山奥ほど救急体制がしっかりしていると感心させられた。「あなたは歩いてどこまで行くかね」と訊ねてきたので、「塩の道を歩いています。静岡の相良から歩いて、最終地は日本海の糸魚川です」というと目を丸くして「塩の道とは そんなに長いのかね? それを歩くとは偉いねえ!昔はこの秋葉街道だって皆歩いていたのだからねぇ。この裏にその旧道が残っているよ」と言う。
早速、旧道の入り口を教えて貰って歩くことにする。大きな杉木立の中を渓流に沿って道が伸びている。暫く歩くと【秋葉道・塩の道】の小さい道しるべが現れ、その横に「ヒルが大量発生しているので湿地部分には要注意」と書かれた看板が立っていた。暫く山道を行くと大きな木々に囲まれた道は日が当たらずにジメジメしていてヒルが大量発生しているのだろうが気味が悪くなってくる。そして雷にでも打たれたのか大木が倒れて道を遮断している。つまりそれほどこの旧道には人の行き来がないのだろう。何となく心細くなり早くこの旧道から脱出したい気持ちになる。そう30分も歩いただろうか、やっと国道に出た。丁度そこが車で通れる「兵越峠(1300m)」との分かれ道となっており、その脇に「津島神社」があった。国道152号線は車で貫通できない日本で唯一の国道であり、ここから車は「ヒョー越え」ルートを通って向う側の「八重河内」に抜けねばならないのである。それほど「青崩峠」付近は山崩れが激しく自動車道路が造れないのであろう。
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