6月のある日、突然に立花隆氏がお亡くなりになっていた事を知りました。私がエッセイストとして物書きを始めたのが2001年の長野県・伊那市での単身赴任生活でした。2年間の伊那生活で書き上げたエッセイを纏めて本にしてみようと挑戦したのが2004年で、本の編集に大変に参考にさせてもらったのが立花隆著『思索紀行』(副題「ぼくはこんな旅をしてきた」書籍情報社)だったのです。普段は新書を買わない私ですが、神保町の本屋で棚の本を流し見していると、この分厚い(510ページ)本が私の目に止まったのです。まず私を惹きつけたのがこの本の題名が超太字なので周りの本とは目立ち方が違います。すぐに取り出してペラペラと中味を見ますと、彼がそれまでにして来た旅を纏め上げたもので早速購入し読みふけりました。大変に面白い内容でしたが、兎に角読みでが有りましたが、これ迄に2回完読しました。私の初版本『伊那谷と私』の編集では、題名を超太めに表現してみました。そしたら友人から「だいたい自信ある作品とは題名が太めだよね」と言ってくれたので大満足でした。それも立花氏のお陰です。
彼の真っ直ぐな性格、一本気なところ、好き嫌いがはっきりしている性格が気に入って10数年前には彼の講演やTV出演の際は「追っかけファン」気味にフォローしておりました。
ところがある日彼が私の家の前の「石坂」をリラックス・スタイルでビニール袋を引っさげて上って行くではありませんか。この西片の山の上に彼のアパートが有ったのですが、時々ですが彼とすれ違う時に、私の足が止まるので先方も「知っている人か?」と私を見るのですが、その次の言葉が私から出ずにすれ違ってしまいます。そんなことが何度か有りました。
彼は大変に猫が好きで、私の家から5分ほどの所(小石川二丁目)に彼の事務所兼書庫『猫ビル』(写真参照)があります。彼はワインが大好きでこのビルの地下がワインセラーになっているそうです。彼はいつも大量の資料を袋づつみにして「石坂」を上っておりましたので、この猫ビルから一人になって執筆活動をする為に西片のアパートに移動していたのでしょう。その立花氏が突然他界してしまいました。「私はあなたの大著『思索紀行』に影響されてこの『伊那谷と私』を創りました」と報告したかったのですがーーー。
ご冥福をお祈りします。