人類が新型コロナウイルスに襲われて丸二年になろうとしている。ウイルスの出現で一体私達の生活の中に何が起きたのだろうか?地球上の人類は<コロナ禍>にも関わらず何ら変わらず宗教戦争やテロ戦争、民族戦争、そして領土戦争を繰り広げている。これらの戦争行為は結果的にこの美しい地球を破壊しているのだが、それに気づかずに自我・欲望に突っ走るとは、人間とは何と愚かな生き物であろうか。
そんな不快な日々を過ごしている時に、渡辺京二著『逝きし世の面影』(平凡社)に巡り会えた。文庫本サイズでほぼ600ページという大著だが、この本を読んでいる時は何か気分が晴れ晴れとなって来るのだ。本の内容は、幕末から明治初期に日本を訪れた外国人が「日本人について」を書き綴った文章を選び出してその内容を分析している。おしなべて訪れた外国人は日本人を、「みんな陽気だ」「親和と礼節を心得ている」「体型は筋肉質で健康的だ」「子供を大事にしている」などなどと印象を持ったようだ。
現在の日本を観れば、上述の外国人が感じたものとは全く正反対の状態と言えるのではなかろうか。つまりは明治に入ってからの「文明開化論」は、日本独自の文明を捨て去り欧米の文明を「よし」として受け入れながら現在に至っている結果であろう。本当に残念なことである。
これからも続くコロナ禍により、私達の生活様式も大きく変化して行くのだが、どうせ変わるなら私達日本人の祖先たちがどんな生活をしていたかをこの本から再認識させてもらうことで、コロナ後の「新しい生活環境」の元で私達一個人としてそれぞれで何ができるのかを考える為の指導書してはどうだろうか。日々ごろごろしているコロナ生活の中で是非皆さんにも一読して頂ければと思う。(右図は明治32年レガメが描いた「こどもたち」:ページ391より)