今年の夏は一段と暑さが厳しい。毎日気温が35℃以上の「猛暑日」に襲われ、夜は30℃位の「真夏日」で寝苦しく、気分の滅入る日が続いている。気温と湿度が高いとグッタリとして何もする気がしないのに加え、パリ・オリンピック期間中は、日本の金メダル・ラッシュに引きずり込まされ夜中までTVを観る羽目に陥り睡眠不足の結果、これまた昼間グッタリに輪を掛ける始末だ。
しかしゴロゴロ生活が続くと何もする気は無いのだが、頭だけは働いている。
21世紀に入ってまだ五分の一を通過しただけなのに街中を見ても、オリンピック競技の新種を観ても、人間様の価値観が大きく変わって来ているように思うのだ。
そういえば私は今から20年ほど前に早稲田大学で行われていた異業種勉強会に於いて『企業不祥事と継続会社の条件』というテーマで講演をした時に、
「これまでは【ものの時代】でしたが、21世紀は【こころの時代】になりますから、日本そして日本人にとって最も得意とする時代が来ると言えましょう」なんて言っておりました。そしてその具体的例として、「【こころの時代】とは精神的な豊かさに価値を見出す時代で、日本の四季を通じた自然美(例えば富士山)や、古い伝統的文化(例えば奈良/京都の神社仏閣)と現代文化と混在している姿に人は大いに惹かれる時代となると言うことです」と言っていたのが思い出される。さらに続けて「だから外国から日本に興味を抱いて大勢の人々が訪ねて来て「観光立国」として大成するでしょう。」なんて話していたのだが、現在はこの状態が現実となって来ており、「インバウンド立国」という言葉が飛び交っている。
「インバウンド(Inbound)」という単語を英語辞書で引いても「入ってくる〜」「本国行きの〜」という意味の”形容詞”とだけ書かれているマイナーな単語なのだが、今やこの意味を「訪日外国人」と知らないと恥をかく時代なのだ。
そして21世紀の半ばには「日本のインバウンド1億人時代」が到来するという予測が出されているという。現在でも繁華街に行くと外国人が大勢いて、むしろ日本人を探すのが難しい位だ。現時点でインバウンドは凡そ年間3000万人台に達する勢いと言うから、その3倍以上となった時の状態は全く想像がつかない。
少なくとも20世紀の日本は「輸出産業によって外貨を稼いで来た」のだが、これからは「日本人一人ひとりが”こころ”をベースに外貨の稼ぎ手」となると言うことだろう。