私達の「地球」は大丈夫か? その答は「地球は大丈夫です。私達人間が地球上で生き残れなくなるだけです」と言うことだ。中沢新一著『縄文聖地巡礼』の中で「私達がグローバル化する資本主義や、それを支えている国家というものの向こうへ出ようとするとき、最高の通路になってくれるのが、この【縄文】なのではないでしょうか。古代への情緒的な幻想を求める旅をしているのではありません。これは、いま私達が閉じ込められている世界、危機に瀕している世界の先に出ていく為の、未来への旅なのです」と言っている。私も3月のポカポカと温かい日曜日、「未来への旅」探しに渋谷区にある「縄文回廊」を巡ってみた。
まずは渋谷区と縄文人とはどうして結び付くのかから見てゆこう。実は昭和46年(1971)4月11日地下鉄千代田線の工事中に原宿駅の神宮橋地下約21mから約20万年前に住んでいたと思われるナウマン象のほぼ1頭分の化石が発見された。更には渋谷の東側台地では縄文遺跡が沢山発掘されて来ている(例えば初台遺跡、明治神宮北池遺跡、北青山遺跡、青山学院構内遺跡、恵比寿遺跡など19遺跡)。と言うことは渋谷の台地には旧石器時代から人類が住んでいたことになる。渋谷駅付近は渋谷川と宇田川水系によって侵食されて作られた谷地であり、縄文時代は海岸線が入り込んでおり台地緑辺部は貝類など海産物が豊富で、また乾燥した草原が広がっており生き物にとって暮らしやすい環境だったようだ。(約1万3千年前)
また縄文文化は日本文化の源流ではあるが、つい50年ほど前までは軽視されていた縄文文化を我々の前に堂々と引っ張り出して来たのが「岡本太郎」である。1970年の「大阪万博」にて展示された【太陽の塔】は、岡本太郎が縄文土器の「火焔型土器」の根源的美に惚れ込んで制作されたという。従って今も続いている「縄文ブーム」の火付け役は岡本太郎なのであった。
さて私の言う【渋谷・縄文回廊】とはどんなルートであろうか。左上の地図上でその順路(赤点線)を順を追って説明しよう。東京メトロ半蔵門線の「表参道」駅①がスタート地点になる。そこから「骨董通り」を直進し、信号にして3つ目の交差点を左に入ってすぐ右に【岡本太郎記念館】②がある。ここはパワースポットとして若者達に注目されており、是非ここで岡本太郎からエネルギーを吸収しようではないか。
次は先程の信号まで戻り骨董通りを突っ切りそのまま直進し「六本木通り」に出る。そこを右に折れて暫く行くと「渋谷四丁目」交差点に来て反対側前方に「交番」③が見えるので、交番を目指し六本木通りを渡り、その奥の急な坂道を登り左側の「常陸宮邸」に沿って左に入る細道に沿って直進しすると【白根記念郷土文化館】④の所に出る。ここでは渋谷区域の原始時代から現在に至るまでの歴史を確認する事ができる。さてここを出たら前の道を左に進むと信号機のある国学院大学前の交差点に出るが、その手前右側の【国学院大学博物館】⑤に入る。
ここには発掘された縄文土器から弥生土器に亘り凄まじい数の土器が陳列されており度肝を抜かされる。長い伝統を持つ「日本文化」を知るに展示品の余りのスケールの大きさにここで一挙に疲労感が襲って来そうだ。さてここを出たら信号の反対側のゆるい坂を上ればすぐ右手に【氷川神社】が現れる。ここが今回の【渋谷・縄文回廊】の最終地となるが、神社の中を奥に進むと鳥居の先が急な下り階段となっている。あたかも崖の上に立っている様で東渋谷台地の上から「渋谷川」⑦が流れる谷地方向を見下ろしている感じだ。
帰路も半蔵門線「表参道」に出る場合のコースを地図上に黒点線で示したが、この「回廊」は歩く距離はさほど長くはないのだが、記念館や博物館の中味が非常に濃いのでジックリ時間を要す事になる。
そこで国学院大学博物館の見学を午前/午後の2回に分けて途中で一旦博物館を出て目の前の大学キャンバスの中に有る大学レストランで昼食を取るのも一案か。大学キャンバスに入るとすぐ右に「神殿」がデーンと控えているので、静まり返る神殿で世界の安穏を祈って拝礼するのも心が休まるであろうか。
是非一度この【縄文回廊】を訪ねられることをお勧めしたい。
いやあ、いつも通り、なかなか活動的ですねえ。
縄文回廊は知りませんでしたが、渋谷が谷にあった(ある)と聞いてますので、縄文人が住んでいた
のは不思議はありませんね。それにしても展示土器が1万3千年前のものとは驚きました。
以前所用で国学院大学に通ったことがありますが、坂道が辛かった(笑)。
うめ太さん、コメントありがとうございます。え!国学院大学に通った??そう、国学院といえば、
考古学もさることながら、神道そして国学なのだからうめ太さんの世界ですよね。博物館の中をまだ
見ておられないなら、是非一度訪ねて欲しいと思います。坂道が辛かったとは、渋谷川側から上って
来たのですね。私の名付けた「縄文回廊」は地下鉄駅「表参道」がスタートですから急な坂は有りません。このルートもご夫婦で一緒に歩かれては如何でしょうか。